それは小学生の頃の話し。
真冬の多摩川で、鯉を釣ろうと友達と釣りに出かけた。
多摩川に着いて、早速仕掛けを作り、遠投して鯉を狙った。
何せ真冬の多摩川。
寒いなんてものではない、極寒だ。
その上風が強く吹いている。
あっという間に手はかじかみ、体中震えて、寒さに耐えながら釣りを続けた。
しかし一向に鯉どころか魚1匹釣れない。
やがて寒くてどうしようもなくなった時、何とか温まる方法はないかと、みんなでポケットを探るも、お金がない。
しかし、1人だけ何とかカップラーメンを1つ買えるだけのお金を持っていた。
しかも釣りに行っていたのは4人。
急いで近くにある店で買ったカップラーメンにお湯を注いで、3分待ち、1人一口つづ分け合って食べた。
その時の旨さときたら、この世のものとは思えない旨さだった。
『カップラーメンってこんなに旨かったっけ?』
心でそう呟きながら、汁を一滴も残さずに、4人で分けて食べた。
あの『この世のものとは思えない旨さ』
世の中美味しいものは沢山ある。
しかしあの時食べたカップラーメンの旨さに勝てるものはないかも知れない。
結局1匹も釣れず、寒さに耐えきれず、釣りは諦めて、土手で段ボールを拾って、ソリ遊びをして、帰りの途に着いた。
小学生時代の懐かしき思い出だ。