鮎が産卵を迎えるこの時期、鮎達は川を遡上して産卵するため、川が琵琶湖へ流れ出す付近には、産卵する鮎を狙って多くのバスが集まる…。
とある土曜日、会社の後輩がバス釣りに興味があるというので、琵琶湖まで後輩の車で行くことになった。
後輩はバスフィッシングの経験はないので自分が教えることにしていた。
琵琶湖までは結構遠いので夜中に出発して、まだ暗いうちに琵琶湖に到着。
少し仮眠を取ってから始める。
頻繁に琵琶湖には行けない上、陸っぱりのポイントは良く分からない。
なので、とりあえず以前釣れたポイントに行ってみることにした。
朝一でバスも活性が上がっていることもあり、まずはハードルアー(魚の形などを模したプラスチックなどで出来た硬いルアー)というところだろうが、以前釣れたメガバスのニードルクローラーのダウンショットリグで橋脚近くに投げる。
ダウンショットリグとは、ラインの一番下にオモリを付け、その10センチから30センチくらい上にフックが付くようにして、そこにソフトルアーを付けるバスフィッシングのリグ(仕掛け)の1つである。
まだ薄暗いため、カラーは目立つ赤にしてみた。
何投かすると、コンコンとアタリがあり、結構早めに1匹目が釣れた。
そして、余りに反応が良いため、もしかしてハードルアーでも釣れるのではと思い、まだ使ったことがないメガバスのX-70を使ってみることに。
まずは投げて動きを確認。
投げてリールを巻くだけで、かなりリアルな感じがするが、トゥイッチという竿先でチョンチョンと小刻みにライン引いてルアーを動かすやり方でルアーを動かすと、本当に小魚が泳いでいるのかと思うほど、リアルな動きになる。
(これ、マジで小魚じゃん…)
そうは言ってもハードルアーは中々釣れないという思い込みもあり、とりあえず試す感じで投げてみた。
投げてリールを巻いて、時々トゥイッチ。
更に大きく竿先を引いて動かすジャークと呼ばれる動きも試す。
何度か投げてトゥイッチやジャークをしていると、いきなりゴンと、ルアーにアタリがあった。
そのままあわせてリールを巻いてフッキングし、30センチに満たないバスをキャッチした。
(えー!?こんなに早く釣れるか?!)
釣ったはいいものの、まだ半信半疑。
再度投げて同じようにトゥイッチとジャークで動かすことを続けた。
何投かでまたすぐゴンとアタリ、またまた30センチ弱のバスをキャッチ。
(これ、このやり方なら連発するかも)
多分このやり方なら間違いなく釣れるだろうと確信し始めた。
何投するとまたバスをキャッチ。
すっかり夢中になっていた。
ハードルアーでこんなに釣れることは初めてだった。
すると向こうから後輩の声。
「〇〇さーん!僕にも教えて下さいよー!」
「おー!分かった、分かった!もうちょっと待ってて」
その時はそのつもりは無かったが、もう後輩のことはすっかり忘れていた。
初めてのバスフィッシングで教える約束だったが、こんなビッグチャンスは滅多にない。
今釣らないとこのラッシュは終わってしまうかも知れない。しかも琵琶湖にはそんなに来れない。
途中釣れなくなるが、ルアーや動きを変えなくても、とりあえず我慢する程の時間をかけなくてもまた釣れるので、ひたすらX-70を投げてトゥイッチとジャークを繰り返す。
そうしているうちに、他の人達が集まって来た。
どうやら連発しているのがバレたらしい。
新たに来た人達もおのおのハードルアーでバスを釣り始めた。
ただ、メインの場所は押さえているため、一番釣れるのは自分達である。
他の人達はルアーチェンジしながら釣っていたが、自分はX-70にそんなに思い入れはないはずなのに、何故かこの時間帯はX-70に固執していた。
そうしているうちに他の人達は居なくなったため、そこから離れた護岸付近で、今度はX-80を投げてみる。
これも試しに動かすとまるで魚だ。
伊東由樹出演のメガバスビデオX-Bitesステージ1ではこれを使って釣りまくっていた。
何投かしていると、グンと重いようなアタリが来た。
「うん?」
バスにしては変な感じだ。
妙に重いような、変な抵抗を感じる。
リールを巻いて来ると、目を疑う驚きの光景が広がっていた。
なんと、X-80の前のフックと後ろのフックにそれぞれバスが食い付いている。
ちゃんと2匹とも口にがっつりフッキングしている。
こんなことがあるのか???
1つのルアーを複数で追うのは分かるし、取り合いになることも分かる。
しかし、なんと同時に2匹のバスが1つのルアーに食い付いて、しかもそれが釣れるとは予想もしなかった。
釣り上げたバスを1匹づつルアーから外してリリースした。
サイズも30センチは超えていたので、2匹となるとそこそこ重いし通常とは違う感じがしたのはこのためだ。
気付くと後輩は自分が放っておいた形になり、彼なりにダウンショットリグでやっていたが、1匹も釣れずに持って来ていたロングチェアーで寝ていた。
結局この護岸付近ではこの2匹しか釣れなかった。
その後橋脚近くに戻っても釣れなくなったため、別の場所に移動。
X-80やX-70を投げたが、結局釣れなかった。
しかし、この日釣れたバスは合計13匹。
最大でも30センチ強だったが、ハードルアーで連発して釣れたので、それが凄く嬉しくて楽しかった。
この時は何故X-70であんなに釣れたのか分からなかったが、その後調べて判明したのが、鮎の産卵行動だった。
琵琶湖の鮎の中には、産卵する時に琵琶湖に繋がる川を遡上して上流域で産卵する鮎がいる。
この鮎の行動を知っているバスが、川の付近で鮎を待ち伏せして鮎を捕食していたと思われる。
バスはなるべく確実にエサである鮎などを捕食するために、高確率で捕食出来るシチュエーションを狙う。
バスからすると、鮎の産卵時期にこの川に大量の鮎が必ず来ることが分かっているため、確実に捕食出来ることから考えると、ハードルアーでも簡単に釣れることは理解出来る。
つまりはルアーを鮎と思ってバスは食ってくるのだ。
結局たまたまラッキーなことに、鮎が産卵する時期に、鮎が遡上する川の、バスが鮎を捕食するために待機している場所に、しかも捕食する時間に来ていたのだ。
幾つもの必然に偶然出会えた結果、今回の楽しいバスフィッシングに繋がった。
バスフィッシングはこういう場所で、こういう場合に、こういう釣り方をすれば釣れるというパターンが存在する。
それを知っておくと釣果に繋がる。
しかし、知っていても、パターンを構成する要素は色々変化するため、そういう流動的な要素を把握して釣ることは難しい。
今回、もしかするとこの時間帯に来なかったら、釣れなかった可能性もある。
それは、違う時間帯だったら鮎が遡上していない可能性もあれば、バスが捕食しようと集まって来ていなかった可能性もあるし、バスは居ても捕食しようと思ってなかったかも知れない。
時間1つ取ってもこうである。
その他にもバスの習性、天候、気圧、気温、水温、先行者がいる(他の人が既に釣りに入ってる)etc…。
パターンを構成する要素が数多くあり、それを複合的、総合的に考えた上で、どんなルアーを使って、どう動かすかも考えてバスを釣る必要がある。
これは色々やり方はあるにせよ、沢山の経験を重ねて考えながら釣りを続けていくことによって身に付けていく感じだろう。
いずれにしても、今回沢山の必然性に偶然出会えてバスが釣れた。
琵琶湖には中々行くことは出来ないが、自分が行けるフィールドで、また楽しく夢中になってバスを釣りたい。
ちなみに後日、その後輩には皆んなの前で「〇〇さん、散々俺のこと放っておいたじゃないですか!」と文句を言われた。
まぁそうなっちゃうんだよ…バス釣りは…夢中になるとね…(心の声)。
※これは琵琶湖がリリース禁止になる前の体験談です。